「アリスと蔵六」全12話、視聴しました。
何というか、いろんな意味で意外なアニメでした。
というのも…冒頭部分はシリアス作品によくありがちな、
「ある組織から超能力少女が脱走するところから始まり、
そのメンバーに追われて激しいバトルを展開。そして、
なんとか逃げきった先で偶然に少女を助けてくれたのが
昔気質の落ち着いた年配の男性だった…」と、
ここだけ観てたら、命がけな物語になるのかと思いきや、
まさか
心癒される家族愛の物語に発展しようとは、
予想外過ぎて想像出来ませんでした(笑)

簡単にあらすじを書くと…ある研究所の中で生まれ育った
超能力少女・紗名が「外の世界」を知りたいと研究所を脱走。
世間知らずで途方に暮れていた紗名が街で出会ったのが、
昔ながらの由緒正しい真っ直ぐな日本の爺さん・蔵六。
紗名は「想像を具現化できる」という特殊能力の持ち主だが、
まだ幼く未熟なため、能力を巧みに使いこなすことができず、
街のあちこちでトラブルを起こしてしまうことに…。
そんな紗名を「悪いことは悪い」と真正面から説教してくれる
蔵六との出会いが紗名の運命を大きく変えていく…感じかな。
少女と爺さんという組み合わせってあまり見ないし、
世の常識を知らず魔法で解決しようとする紗名と、
それを特別扱いせず「して良いことと悪いこと」の区別を
信念を持ってしっかり諭す愛が溢れる蔵六の姿は、
今の日本の教育・しつけにすごく大切なことで、
紗名が少しずつ心の成長をしていく様がとても心地良い


そして、蔵六の孫・早苗。この子がめちゃめちゃ優しい癒し系。
高校生なのに、紗名への包容力と愛情溢れる姿はまるで母親。
普通の女の子になっていく姿を誰よりも喜ぶ早苗。
日常のひとつひとつを熱心に学び、一生懸命頑張る紗名。
本当に微笑ましく
ほんわかな優しい日常に癒されました。そして最初は追う追われる関係だった、紗名とあさひ&よなが。
組織を出た彼女達が、泊りに来て仲良く過ごすひと時が
とても良かった。2人の反応で紗名の成長がわかったしね。
後半、新たな能力者・羽鳥とその友・歩が出てきた時は、
不穏な空気でこのままバトルになるかと心配したけど、
互いの身の上を話すうち、最後は共感しあい仲良しに。
見た目は10歳ほどの紗名。でも育った環境のせいか幼く、
言葉はたどたどしく「モシャモシャする」と何度も訴えて、
支離滅裂なところもあったけど、紗名なりにいろいろ悩み、
羽鳥を励まそうとする気持ちがとても伝わりました

2人が迷い込んだ空間世界・ワンダーランドは、紗名の
能力が作り出した世界、という突拍子もない発想でしたが、
これまで紗名が見てきて感じたことの具現化なんだと納得。
可愛らしい絵柄で殺戮したところも無く、大人が子供を守る
という構図で、基本的に悪人が出てこないところに安心感。
蔵六と早苗が温かく迎えてくれる家、紗名の帰る場所。
帰りが遅かった蔵六にしがみついて離れない紗名の姿。
可愛くて優し過ぎて泣けてきます。良い家族です

そういえば「アリスの夢研究所」とのバトルはあっさりでした。
というか、アリスの夢が何の研究なのかよくわからなかった私。
前半は派手にバトルが描かれていたので、一斉検挙されて
潰された後も、これは裏があるな!と密かに思ってたのに、
警察の管下になり…「え?あれで終了?」って感じでした(笑)
ラストは花束を手にした大人の紗名が現れこう呟きます
「今はもう大丈夫だ。お前のおかげだな、蔵六…」
この言葉は育ててくれた蔵六への感謝の気持ち。
そして天国へ宛てたメッセージ…なのかなと。
子供達を正しい方向へ導くことが、大人の務めだなと思いました。